クラルの言葉に

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クラルの言葉に


   刺青は、塔で理化学を学んだ証だ。
 三百年前に定められた協定で、キサ人は移動を厳しく制限されている。一目でキサ人とわかる顔の刺青は隠しようもない。
 クラルの言葉に、ネフィエルは顔を歪《ゆが》めた。
「私が塔に行かなかったのは、母さんのたっての願いだったからよ」
「知ってるわ。刺青を入れる前に、外の世界を見てきなさい——そう言ったんですってね。なのに、どうしてネフィはここにいるの?」
「それは……」
 指を突きつけられ、ネフィエルは詰まった。
「外に出る理由ができてよかったじゃない」
「でも、そんな話、トール様は断るわよ」
 きっと睨みつけたネフィエルに、クラルは哀れむようにゆっくりと首を振った。
「無理ね。相手はオルトー公だ肩周炎治療もの。それに、トール様の意思は関係ないわ。きっとトール様の顔が十人並みでも、それ以下でも、公は側室にと望むでしょうね。公の目的は、このキサだもの」
「どうして? 勝手にオルトー公領だなんて言っておいて、公はこの上何が欲しいの?」
「公が欲しいのはキサそのもの、よ」
 悄然《しょうぜん》としたエシルの声に、ネフィエルははっと顔を向けた。
「人質になるだけじゃない。トール様との間reenex cps價錢に子供が生まれれば、その子がキサの領主になるわ」
「そのために? そんなことのためにトール様を?」
 思わず、声が震えた。
 衝撃も強かったが、怒りがそれに勝った。
「私、トール様に確かめてくる」
 拳を握って、ネフィエルは身を翻した。
「無駄よ。さっきも言ったでしょ、トール様の意思は関係ないわ」
「どうして? 本人の意思が関係ないなんて、おかしいわよ」
 荒々しく扉を閉めて、ネフィエルは息も荒く階段を駆け下りた。
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