金髪の大男がむっとした声
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金髪の大男がむっとした声
真夜中と思えるころ、部屋の扉が勢いよく開いた。スパーホークは小さな簡易寝台から転がり下り、剣を手にすばやく立ち上がった。
「よしやがれ」戸口に立ったで言った。片手に蝋燭《ろうそく》を持ち、もう片方の手にはワインの革袋を下げている。
「やあ、カルテン」スパーホークは幼|馴染《なじみ》に挨拶した。「いつ着いたんだ」
「半時間ほど前だ。壁をよじ登らなくちゃ鑽石能量水 問題ならんのかと、しばらく考えちまったよ」と不機嫌そうな顔になる。「戦時下じゃないんだぜ。何だって毎晩、橋を跳ね上げとくんだ」
「習慣だからだろうな」
「とにかくそいつを下ろせよ」カルテンはスパーホークの剣を指差した。「おれに独りで全部飲めって言うのか」
「失礼」スパーホークは長剣を壁に立てかけた。
カルテンは蝋燭を部屋の隅の小さなテーブルに置き、革袋をスパーホークのベッドに放り出すと、力強く友人を抱きしめた。「無事でよかった」
「おまえこそ」とスパーホーク。「まあ座れよ」そう言ってテーブルの横の腰掛けを示し、自分はベッドの端に腰をおろす。「ラモーカンドはどうだった?」
カルテンはぶしつけな音を立てた。
「寒くて、湿っぽくて、苛々《いらいら》するDSE數學ところだ。ラモーク人てやつは虫が好かんな。レンドーはどうだった」
スパーホークは肩をすくめた。
「暑くて、乾ききってて、たぶんラモーカンドと同じくらい苛々するところだ」
「マーテルに出くわしたって噂を聞いたが、立派な葬式を出してやったか」
「逃げられた」
「耄碌《もうろく》したんじゃないのか」カルテンはマントの襟元をゆるあた。もつれあった豊かな巻き毛の金髪が鎖帷子《くさりかたびら》の襟元か認知能力らはみ出す。「ワインの袋を一晩じゅう抱いてるつもりか」
スパーホークはうなるような声で答え、袋の栓《せん》をあけて口許に持っていった。
「悪くない。どこで手に入れた」そう言って革袋を手渡す。
「日暮れ近くに酒場の前を通りかかったんだ。パンディオン騎士館で飲めるのは水か、セフレーニアがいてもお茶がせいぜいだからな。ばかな習慣だよ」
「教会騎士団なんだぞ」
「カレロスの六人の大司教は毎晩飲んだくれてるぜ」カルテンは袋を口に当てて長々とあおった。袋を振ってみて、「もう一袋買っとくんだったな。そうそう、その酒場にクリクがいたんだ。おまえの甲冑を着た青二才といっしょに」
「そんなことだろうと思った」スパーホークは顔をしかめた。
「とにかく、クリクからおまえがここにいると聞いてな。その酒場の二階の宿に泊まるつもりだったんだが、レンドーから戻ってるっていうんで、馬を飛ばしてきたわけさ」
「感激だよ」
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